都会から左遷され、田舎の中のド田舎で、辺境警備隊長に赴任したサウル・カダフ、冴えないおっさん。
田舎者の兵隊さんたちや、美貌の(男性)神官さんたちと、田舎暮らしをする羽目に。
ぐーたらで女好きの隊長なのに、有事の交渉力や判断力は一級という、頼れるおっさん。
若かりし頃の事件を描いた短編「天使のいない夜」で、「不良中年になりたい」とつぶやくサウルの生き方が魅力的。
俺は不良中年になりたいな。いつまでも悟ったりせずにじたばた生きたい。どんな痛みも苦しみも喜び同様に覚えていたい。果てしなく続く天使のいない夜も軽々と生きていきたい──もしも本当にそんな人間になれるのならね──(天使のいない夜)